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VR(仮想現実)の海外動向 ~Cluster加藤さん×DVERSE沼倉さん~

ポケモンGOをインストールしようとしたら、あなたの端末には対応していませんって出てきてキレそうなカヤバです。

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先日、Tokyo VR Meetup 第7回に参加してきたので、後半の「VRスタートアップで世界挑戦」のセッションの内容をまとめてみました。めちゃくちゃ面白い話ばかりでした\(^o^)/ VRの海外事情について、クラスターのCEOの加藤直人さんと、DVERSEのCEOの沼倉正吾さんが、Panoraの司会の方が用意した質問に答えていく形式です。

クラスターを知らない人はこちらのホームページをぜひ参照してください

cluster.mu

DVERSEは、CADデータを元に建築物などをVR空間内で生成する、土木建築向けのVR制作の「SYMMETRY」というサービスを運営しています。

Q1 VRはやっぱり海外の方が盛り上がってる??

ほとんどの企業がいきなりVR/AR対応してきたスピード感

沼倉さんが海外イベントである、3DCAD関連の企業が集まる『3D BASECAMP』に参加してきたらしく、そのレポートを披露してくれました。前回までは一社もVR/ARなんて一切言っておらず、VR/AR対応の製品は一つもなかったようです。それが今回は、ほとんどの企業が急にVR/ARを実装して主要製品をVR対応にしてきたらしいです。ですが、フレームレートやチューニングが大甘だったりして、おざなりなVR/AR対応に留まっているようです。なので、「皆さんのほうが知見持ってると思う。」「まだ大手がくるまでに時間がかかる。」のようなこともおっしゃっていました。

VRが”盛り上がる”には投資と開発と消費の三拍子が揃わねば (日本より海外のVRのほうが盛り上がっているのか考える際)

加藤さんいわく、

日本でも海外でも、VRでソーシャルはまだ早くない??って言われたとのこと。実はアバターでチャットするサービスはAltspace VR以外にも、海外でガンガン出てきてる。

”盛り上がる”には3つの要素がある。投資と開発と消費。

1投資

今年に入ってから11億ドル(1千億円以上)がVR/ARに投資された。(マジックリープによる全体の底上げのせいもあるけど)。盛り上がっていると言える。HTCも1兆円の投資ファンドを組んだ。それに対して日本のVCは、そろそろ投資をはじめないといけないということで、腰を動かしだした感じ。

2開発

沼倉さんがお話のとおり、盛り上がっている

3消費

分からない。数でみたら海外のほうが圧倒的。PSVRはほとんど海外向けだけど、意外にアイマスとかサマーレッスンみたいな、日本人向けのコンテンツもやってたりするから、もしかしたら日本のユーザーも狙いにきてるんじゃないか?

Q2 海外のVRでアツいのはどの分野??

沼倉さんいわく、

ニューヨークではファッションや音楽がアツい。「SpaceoutVR」ではVR内で音楽を共有することができ、コミュニケーションのハブになっているそうです。

ビジネス系はとにかくアツい。お客さんに綺麗なものを見せて体感させるという目的がストレートではっきりしている。投資の規模はゲームよりビジネス向けの方が全然デカイ。

加藤さんいわく、

意外にもハード(ヘッドマウントディスプレイからインプットデバイスまで)が多い。日本よりハードやってる人達が多い。やっている人たちが結構年配のおじさんの方々がちゃんと会社としてやっているそうです。

Q 中国でHMDいっぱい出て来てるけど、逆にコンテンツはまだ微妙なのか?

沼倉さんいわく、

メガネ型ディスプレイ作ってるとこはなんと300個もある。むしろソフトが全然ない。ソフトを囲い込めてるのはテンセントくらい。途上国には中国の安いデバイスが行くはず。スマホでいうシャオミとかと同じように。

加藤さんいわく、 

中国はVRに関しては、まずは足がかりをつけようっていうレベル。

 

Q3 海外からのフィードバックで日本との違いを感じたことは?

沼倉さんいわく、

イベントとかでガンガンつっこんでくる。「ここのとこどーなってんの?」「こうしたほうがいいんじゃない?」など。なので良い意味で非常に助かる。(日本人はすごいですね~など褒めてくれる)とのことです。

加藤さんいわく、 

圧倒的に違ったのは、海外のVCは技術的にどこでブレイクスルーがあるのか等、かなり突っ込んで聞いてくるとのこと。あとはクラスターに対するフィードバックで面白かったのは、アバターなどがCuteだねと言われた(おそらくネガティブなニュアンス)北米で流行るものはむしろクールなもの。アジアはcuteより。とのことです。

 

Q4 日本のベンチャーの強みは?逆に足りないところは?

沼倉さん 

日本のサービスは情報が外に出てないだけ。スタートアップやるんなら英語でも発信していけばいい。力自体はある人が多い。若い人も勝負できるので、ビビらずにがんがん行っていい。

加藤さん 

コンテンツの細かさ、質は負けてないどころか日本の方が強い。でも日本に最適化してしまう。ガリガリ作りこんでしまう傾向がある。まだ大雑把でいいので使われるものを作っていけばいいかも。あとは、日本は日本特有の市場を生かせる。シニア向けのコンテンツをつくって、海外に輸出していくなど。日本でフィールドテストができる。

AR/MRは来てもらう体験。VRは行く体験。AR/MRが発達してもVRは残る。by加藤さん

例えば、狭い四畳半の部屋だったら、そこにARでアイドル来てほしくない。その場合はVRで行きたい。とのこと。

おぉ~~~なるほど、確かに!!目から鱗でした、さすが加藤さん!!!

 

 ここから下は会場の方々からの質問です

Q AIへの取り組みは?

加藤さん AIはVRのインターフェースにおいて実はめちゃくちゃ重要。顔が覆われるから、キーボードとかも難しい。したがってUIはチャットボット形式の対話になっていく。だから機械学習の知見が必要になってくる。

Q いまは普及期に入ってるのか??

沼倉さん。

まだ全然普及期じゃない。まだコントローラーの規定すら決まっていないから。例えば任天堂とかもいろんなコントローラー出しまくって、最後ようやく一つに定まった。普及期を迎えるには、まずコントローラーの規定が決まらないといけない

Q VRにより人の移動がなくなることの弊害は??

VRは人の移動をなくす。人の移動がない世界は、例えば地方を想像すれば分かりやすい。お店もなくなっていっちゃう。VRの普及でお店が全部アマゾンに変わっちゃって、ってなってしまう懸念は?? 的な質問です。

加藤さん 

そうなったらいいじゃんという気持ち。一番のエネルギーの無駄は、実は人間の移動(存在もほんとは無駄。)合理性から、VRで外には出なくなる。そうしたら外で行って人に会ったりすることが、”贅沢”な位置づけになる。そうなると外のものの価格は高くなっていく。家を出るというのは、物を調達しにいくか、人に会いにいくかの2パターンしかない。でも物はアマゾンでいい。仕事でオフィス行くのも、人に会いに行く うちに入る。この出勤は無駄で、これを解決できるのもVR。

 

ちなみに最後に参加者が登壇して1分間アピールできる「スーパーライトニング告知タイム」というのがあるのですが、5名くらいがそれぞれ登壇してました。これすごく魅力的ですね。

ちなみにTokyo VR MeetupはTokyo VR Startupsが主催しているので、会場にはGUMIの國光さんや『VRビジネスの衝撃 ~仮想世界が巨大マネーを生む~』の著者である新清士さんもいらっしゃってました。

 とにかくTokyo VR Meetup、とても面白くて、とても勉強になりました。今まで参加してこなかったことに後悔MAX・・・