kayaba_akihiko’s VR ARブログ

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スマホAR時代のSNS その2

前回記事では、人にARコンテンツを紐づけるSNSを考えました。

kayabaakihiko.hatenablog.com

今回は、モノとか場所に紐づけるアプローチを考えます。

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これなら、人にスマホをかざす必要はありません。

モノ、場所にARコンテンツを紐付けるSNSのアプローチ

東京の高校生

「ガンちゃん(3代目)が原宿のこのへんににARアップしたらしいよ!」

⇒「え~放課後見にいこ!」

ローラTwitterアカウント

⇒「ハチ公で拡張してきたよ~探してみてね、ウフフ」

高校生

 「3階の奥の空き教室の黒板に、スマホかざしてみてね!」

⇒3DのAR型誕生日メッセージが浮かび上がるとともに、友人が登録したボイスメッセージも同時に再生される。(誕生日おめでとう!っていうラインがくるより嬉しいはずだ。)

「先生の机にARうんこのっけたの誰だよwww」

 

どこかにユーザーがARコンテンツを登録する。そこにスマホをかざした第三者はその登録内容を見れるという仕組みだ。それはテキストかもしれないし画像かもしれないし3Dオブジェクトかもしれない。テキストを投稿する時代の「ツイートする」に相当するような新しい用語がこのAR時代には生まれているだろう。(既にARサービスBlipparではスマホをかざすことをBlippという)

 

コンテンツはネットにアップロードする時代から、現実にアップロードする時代になる。現実にあるデジタルコンテンツと写真を撮って、それをインスタに上げる。そんなサイクルもできるかもしれない。

そしてARコンテンツは必ずしもビジュアルじゃなくてもいい。

「声」や「音楽」を登録してもいい。

そこでしか聞けない音楽

そこでしか読めない文章

そこでしか見れない映像

好きな人が、どこで、どんな景色を見ながら、その音楽を聴いてたのか分かる、

感情移入できそうですね。(ストーカー匂もするww

 

こうやって、現実には何もないのに、デジタル世界ではどんどん情報が蓄積されていく。これが拡張現実の面白さだ。もはや魔法の世界のようだ。見えないモノが、コンピュータの目を通すと、見えるようになる。

 

AR型のSNSは、有名人あるいは身内間のクローズドなSNSというアプローチになるはず。知らない人が登録したARコンテンツとかどうでもいいからだ。

(観光スポットの英語解説、口コミ情報みたいな便利系のコンテンツなら、オープンSNSでも需要あり)

とはいえ、ツイッターと同じで、最終的にはオープンにも広がっていく。そのときは魅力的なコンテンツのみが拡散されていく。ネットやメディア上で、ここにこんな面白いARがあると話題になる。そうなるとデジタル観光スポットができるはずだ。現実には何もない空間に、人だかりができて、みんなスマホで写真を撮っている光景が見られるようになる。これがインスタ映えするコンテンツならなおさら強い。

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この羽の3DAR版とかね。

この羽がインスタで流行るのは、

・インスタ映えする

・そこに実際に行かないと撮れない稀少性

の2つを満たしているから。

そうゆう意味ではお洒落でアート的な3DARコンテンツがわりと受けやすいと思う。

ローマが、何千年前の遺跡群が残された歴史の観光都市なら、

渋谷は東京オリンピックの頃にはデジタルAR観光都市に脱皮しているかもしれない。

チームラボにぜひとも活躍してほしいw

こうやって妄想する分にはARはめちゃ面白い。ただ実際にやるとなると、いろんな問題が考えられる。

課題1 ARならではのコンテンツとは??

実際どんなコンテンツを登録すればいいのか不明だ。

今のSNSでは、レストランに行ったら店内を、食べ物を写真で撮ればすむ話だ。

友達と遊んでいたら、友達の写真を撮ればいい。

これが、ARになった瞬間に、ユースケースがいっきに減ってしまう。

ツイッター・インスタではできないことが出来ない使い道がないと意味がない。

 

 仮にテキストなら、次のフェースブックが公開している動画の40秒のとこみたいなアプローチなら、納得がいく。

www.youtube.com

 

さらに3Dのコンテンツとなると、ユーザーが簡単に作るわけにもいかない問題が発生する。ある程度の型を運営側が用意することになるのか?

ふたをあけてみないと分からないと楽観視することもできる。

Youtubeに一番最初に投稿された動画は、動物園の退屈な動画だったってのは有名な話だ。今でこそYoutubeにはどんな動画がアップされ、ユーザーがどんな使い方をするかは鮮明にイメージできる。当時Youtubeのコンセプトを説明されても、誰が何のためにどんな動画をあげるのかイメージできる人は少なかったのではなかろうか。

課題その2 コンテンツ不足

現実の場所が多すぎるのに対して、それに付随するコンテンツが足りない。300人フォローしていたとして、街中を歩いていてはたしてどれだけのモノや場所に友人が登録したAR情報が紐付けられているでしょうか?あまりにもモノ、場所の数のほうが多くて、ARコンテンツが足りない。

これが仮に固定された狭い空間だったなら成り立つ。

高校の教室が最たる例だろう。

高校生らは毎日毎日教室という空間に通う。

「黒板に○○と○○のAR相合傘あるらしいよwww」

限られた空間に、仲間が集うため、コンテンツ不足問題は生じないし、コンテンツは毎日更新されていくはずだ。

 

課題その3 AR型SNSのジレンマ

ARは現実の実際のモノ、場所にデジタル情報を重ね合わせる。未来感あふれる。でもそれは裏を返せば、その場所に行かないとコンテンツを見れないということ。これから出てくる弊害は3つ

 ●エンゲージメント率の低さ

インスタ、ツイッターなら投稿した瞬間に全フォロワーにコンテンツが行き渡る。ARを登録してからユーザーがそれを見るまでに、タイムラグが発生する。そしてそもそも、わざわざ見に来てくれる確証はどこにもない。そうなったとき、ARでコンテンツを登録するユーザーのインセンティブがなくなる。

 ●利用頻度が限定される

前回記事でも書いたとおりだ。ツイッター、インスタは24時間どこでも見れる。電車でもできる。エレベータの待ち時間にもできる。夜寝る前ベッドの上でもできる。これこそインターネットの特徴を最大限に享受している。それが、ARだとその場所に行かないとできない。既存のSNSと比べると使える機会はめっきり減ってしまう。

 ●見返せない

インスタはもはや自分が所有するアルバムと化していますよね。これがARソーシャルだと、せっかくの思い出を見返せない!!せっかくばっちり決めた自分の考えを記したテキストや友達とのツーショット写真を現実にアップロードしても、そこに行かないと見返せない。

ここで思い出されるのが、スナチャとインスタのストーリー機能。アップした写真が消える。消えたら見返せないじゃないか!?と最初は思った人は多いはずだ。それでもバズりにバズった。

「見返せないというデメリット」 < 「残らないからこそぶっとんだ投稿もできるし、いいね数も気にせず気軽に投稿でき、投稿の心理的ハードルの低下からくるメリット」

という式が成り立つからだ。メリットがジレンマに勝った瞬間だ。

(しかもインスタの場合は、残したい画像はストーリーではなく普通のタイムラインに投稿すればいいだけ。)

見返せなくても、現実にコンテンツを登録し合う体験から得られるメリットが、ジレンマからくるデメリットを上回れば、ユーザーは動くはず。 

 

課題の解決策

街を歩きながらたまたま友達のARコンテンツに遭遇する。そんなポケGO的サービスを想像するから難しい。

⇒インスタで写真を撮ったらすぐにフォロワーにシェアできるように、ARも登録した瞬間にその画像・動画をタイムラインにもシェアできるようにすればいい。それを見たフォロワーは、面白そうだと思ったら見に行けばいい。

インスタで友達があげていたお洒落なお店を実際に行ってみるのと同じだ。ネット上で知ったARコンテンツを気に行ったら、ピンポイントで見にいけばいいだけ。

(友達がARコンテンツをアップした瞬間に、通知が来る。あるいは、フォローしてる人がアップしたARコンテンツの近くに来たら、通知がくる。という仕掛けも考えられるが、これだけだと、フォロワーの目にARコンテンツが届くとは限らないから、ARを登録するインセンティブが足りない。)

ちなみに課題1の、ARならではのコンテンツとは??という疑問はいまだ残る

 

既存サービス

ここでいったん立ち止まって、歴史を振り返ってみよう。

やはりインターネット業界の先駆者たちはすごくて、昔に既にサービスとして出している。

セカイカメラだ。これはユーザーが場所にARコンテンツを登録していく、オープンなサービスです。

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このサービスは2009年にリリースされたが、残念ながら失敗してしまった。その要因について、セカイカメラのCEOが次のように述べている。

運営会社CEOが語る「セカイカメラ」の終わりと未来 | 日刊SPA!より抜粋

「まず、ダメだった点から3点お話しします。1つ目は、使うにあたりスマホをかざさなくてはいけなかったこと。セカイカメラが登場する前から研究されていたAR(拡張現実)を、スマホというデバイスを使って身近なものにしたことは大きい。けれど、かざすのは実際恥ずかしいですよね。周辺の情報はスマホの画面を見てリストや地図で見るのでも十分なわけですし」

たしかに、繁華街でスマホをかざすと不審な目で見られる。さらに、「2つ目は、情報の整理ができていなかったこと。街中を歩いていると多くの情報が目に飛び込んできます。混沌としている現実に、混沌としているウェブ上の情報を載せると、混沌が合わさって、何を見たらいいのかわからない、有用な情報の取捨選択を困難にしてしまった。3つ目は、毎日使う必要性がないこと。いつもの通勤経路で、馴染みの繁華街で、前に見たときと違う情報があれば人は使うけど、それがわからなければ使ってくれない」

人・モノ・場所に紐付けるAR型SNSは、自分がフォローしている人が登録したものしか浮かび上がらないから、2つめの情報のカオス問題はクリアしている。(その代わり、コンテンツ不足問題が生じるが)。コンテンツを登録する人も、オープンに公開するのか、フォロワー限定に公開するのか選択できるようになるはずだ。ここはツイッターとおんなじだ。

そしてSNSなので、ユーザーはTwitterのようにその都度登録しているARコンテンツを書き換えたり(人に登録する場合)、新たに登録(場所に登録する場合)していくので、毎日使う必要性がないという壁もクリア。

1つめの、スマホをかざさないといけない壁は、越えられない壁。

 

それでもなにより、技術・ユーザーの動向の変化を考慮しないといけない。

セカイカメラは早すぎた。

ARの精度は当時より上がっているし(そもそもセカイカメラで登録するテキスト/画像の“エアタグ”は二次元の平面だ)、ユーザーもポケGOでARの使い方を覚えただろう。

 

最近のサービス

セカイカメラ以外にこうゆうサービスは見聞きしたことがなかったが、

つい最近MIRAGEというアプリを発見した。8月にリリースしたばかりだそうだ。

Apple出身者が開発!ARを応用した画像コミュニケーションアプリ「mirage」 | Techable(テッカブル)

実際に使ってみたが、この記事で書いてきた問題を1つも解決できていないので、

流行らないと思う。一応画像を載せておこう。

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紐づけたい対象をカメラでぱしゃり。

テキストでも写真でも3Dスタンプでもなんでものっけられる。

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いえい。

上記はiPhoneだが、iPadで別のアカウントを登録して、かざしてみたらちゃんと幽霊が浮かび上がった。

 

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公開範囲を選べる。Publicにしたら、はてなマークのアイコンが自分のプロフィールアイコンになる。もちろん、このマニアックなアプリを使ってる人が僕の周辺にいるはずがないがw

POKEMON GOは流行ったじゃん?

 待てよ、こんなだけ課題が山積みなのに、ポケGOはなんで成立したんだ??

よく言われている、「ポケモンはARというより、最強のIPがあったから成功しただけ。」と簡単に結論づけることもできるが、もう少し考えてみよう。

・コンテンツ不足問題

→コンテンツ(ポケモン)は運営側が無限に作って、そこら中に落としまくれる。

・ARのジレンマ問題がない

上記の無限に生成されたポケモンは、GPSの「位置情報」に紐づいているので、電車の中でも家でも遊べる。

・コンテンツが変わらない問題もない

→日にち、時間帯によってどこの場所にどんなコンテンツを落とすかを運営が自由自在に操れるので、コンテンツは日々変化する。

 

最後に

上記のようにいろんな課題を見てきた。

これらの問題を交わす仕掛けを上手に作って、ARファーストなインターフェースで最適なフォーマットでサービスを提供できたところが勝つのだ。

次は、ARコンテンツを紐づける対象がないアプローチを考えてみるよ!

 

追記20170921

9/20にARKit対応のiOS11が公開され、WorldBrushというアプリが出てきました。スマホ上での描画がそのままその場所に残り、第三者が見れるというもの。