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"思い出アプリ"TikTokはInstagramを超えられる?

「アガる思い出作っとく?」

 

今年2018年の夏頃、

渋谷にでかでかとTikTokの広告が登場して興奮したことが記憶に新しい。

https://assets.media-platform.com/bi/dist/images/2018/10/02/IMG_20180813_125443433-w960.jpg

 

アプリの謳い文句というのは難しい。

 

なんと呼ぶかによって、訴求力、広まり方にも影響してくる。

 

「アガる思い出つくっとく?みんなのエンタメアプリ」

 

他にもいろんな呼び方ができたはずだ。

 

リッピシンクアプリ

 

ダンス動画アプリ

 

短編動画アプリ

 

それでも、

 

アガる思い出つくっとく?エンタメアプリTikTok

 

と言うような文言を選んだのは彼らの展望が垣間見られる。

 

思い出を作る。

 

ただ見るだけじゃなくて、投稿するアプリだということだ。

 

YoutubeVineのように、

 

一部のインフルエンサーだけがおもしろ動画をあげる媒体ではない。

 

友達といるときにスマホで「動画」を撮るってなったら、

当たり前に開くのがTikTokになったら勝ちなのだ。

Snapchatはできたてのころ、スマートフォンで、どのカメラアプリよりも早くて写真が取れるアプリになることを目指した。

スマホで写真をとるってなったらスナチャを開いてもらうように仕向けた。

TikTokも、若者が動画を撮る時に、iPhoneのプリインのカメラアプリでもなく、インスタでもなく、スナチャでもなく、TikTokを開いてほしいのだ。

 

どの動画アプリよりも面白くて、盛れて、楽しい動画が撮れれば、そうなっていく。

 

実際TikTokは友達に動画撮ろうよって勧めやすい。

TikTok普通に楽しいよ、面白い動画撮れるんよって提案して、

曲を選んで、ポーズを一緒に練習して、撮ってみる。

一緒に撮るとこまでが遊びになる。

僕も友達と撮ったTikTok動画や、友達単独を映したTikTok動画がたくさんスマホに入っている。

 

今はインスタやってる?フォローさせてー!だが、

Tiktokやってる?フォローさせて!に変わる可能性がある。

そうなっても全然おかしくない。

 

この動画ソーシャルの流れは思ったより早くきている。

 

【直撃】世界5億人を虜にする「TikTok」のテクノロジー

 

 この記事で、

 もちろん「見るだけ」という使い方も可能なのですが、日本ではアプリをダウンロードした人の66%が動画を投稿しています

とある。

 

自分も定期的に大学生にTikTokについてヒアリングしているが、

「友達の投稿を見るために入れてる」

という子は多い。

有名なTikTokerを見るためじゃなくて、友達の投稿を見るために入れてるんだ。

 

ちなみに今年の一月にGumiの國光さんが以下のようなコメントをしていた。

断言して良いけどTik Tokmusical.lyがインスタを超える可能性はゼロ。閲覧者/投稿者の率が高ければ高いほどバイラルでスティッキーになる。インスタが圧倒的に高い 

これは半分合っていて、半分間違っている。

閲覧者・投稿者の率が高いほどバイラルになる。ここまではその通り。

國光さんが見誤っていたのは、TikTokのコンテンツを、初期のリップシンク動画に限定していた点。ただのリップシンクアプリにとどまっていたら、投稿率は限定され、確かにTikTokがインスタを超えることは難しい。

正直僕も1月時点では、musical.lyのリップシンク動画の印象が強すぎて、同じように思った。

 

今となってはInstagramを超える可能性はゼロどころか、超える確率の方が高いんじゃないか。

何をもって「超える」と定義するかにもよるが...

 

インスタはもう全く面白いと感じない。

少なくとももう若者のワクワクする隠れ場的なソーシャルな居場所のようには全く見えない。

 

 

インスタのストーリーほど垂れ流しのつまらないコンテンツはない。知り合いが食べたランチほどどうでもいい内容はない。そう分かっていながら、自分もランチをしたらストーリーに乗せてしまう。この意味のないループは早くなくなった方がいい。創業者も離脱したことだし、そろそろインスタは廃れた方がいい。

 

 

と、最後は謎のインスタDisりになってしまったが...

 

夏に下書きに葬り去っていた記事なので、

真新しさが全くなくなってしまったのが悔しいが公開しておきます。

 

そして最近出てきたテレビCM

www.youtube.com

 

藤田ニコルとかではなく、上戸彩を登用してくるあたりに、

またTikTok運営の野望が垣間見られる。

また、後輩にTikTok撮ろうって誘われて逃げるシーンも、

初めてのTikTok撮影との出会いをリアルに表していてとてもよかった。

最初は恥ずかしさや抵抗があるが、気付いたら思い出の動画が出来上がっている。

あれ、悪くないじゃん... みたいな。

TikTokあるあるだろう。

 

TikTokは本当に、思い出の「真ん中」を押さえて、Instagramを超えられるかもしれない...

 

⬇️⬇️ツイッターでも毎日インターネット、スタートアップ、SNSなどについて発信しています。

twitter.com

Tiktok運営元のByteDanceつよ

Tiktokはもはや日本の若者で知らない人はほぼいないだろう。

でもその運営元の中国ByteDanceのバリュエーションがまもなくウーバーを抜いて、未上場企業で世界1となることは、みんなあまり知らないかもしれない。

Tik Tok運営の中国企業、企業価値「8兆円」でウーバーを突破か | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

晴れていい波に乗れて、いま世界1アツいスタートアップだ。

https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcTUBSXmd5oaqmI7KVgswAd5rfCz8_j4K9pJelYbhRSBRCbwHQkG

 

Bytedanceはもともとはスマホメディアを運営していた会社だ。

この数年で、世界中の動画アプリを買ってきた。

 

https://hans.vc/wp-content/uploads/2018/06/Bytedance-empire.png

 

中でも衝撃なのがMusical.lyの買収だ。

Musical.lyは、3年くらい前に、今米国のTeenで最も流行っているものとして、InstagramやSnapchatの次という文脈で出てきていたアプリの一つだった。(Housepartyなども同様)。

Musical.lyは短編縦型動画が音楽に合わせて投稿されるアプリ。Vineのような雰囲気だった。投稿しているのはほぼ外人で、僕もおすすめで上がってくるのを見る専であった。

どうせFacebookが買収するか、機能丸ごとパクられるのかなと思っていたら、

いつの間にかよくわからん中国企業に買収された。そして、結構多用していたFlipagramという動画×BGMの動画編集・共有アプリも、いつの間にかよくわからん中国企業に買収されていた。

そして昨年末くらいからYoutubeで広告が出てくるTiktokというアプリ。瞬く間にiPhoneアプリランキングで世界1となり、何者だ。。。!?と思ったら、

正体はMusical.lyを買収したあのよくわからん中国事業だった。

 

ここ5年くらい、全アジアのインターネット企業は、中国の2強のアリババとテンセントが喰らい尽くしてきた。彼らが全てを飲み込んでいく流れには逆らえなかった。

しかしこの新星ByteDanceには、2強の資本がほとんど入っていない。

知り合いの知り合いの中国人いわく、この面において、ByteDanceは期待のホープらしい。

 

シリコンバレーのテックカンパニーら1強時代は終わりつつある。

既存の中国2強に加えて、このような中国新星企業が出てきた。

USのイケイケなソーシャルカンパニーを丸ごと買っちゃう力がある。

そして、ソフトバンクビジョンファンドのような革命勢力らが、勢力地図を塗り替えていってる。

多くの人がTiktok痛すぎ・・・って思ってる間に、世界1のユニコーンになっちゃった。

 

この会社は、謎が多いのもまた魅力的だ...w

最近でこそTiktok自体に対する分析記事は増えてきたものの、

運営元のByteDanceや、CEO (なんとまだ35歳...)の経歴などに関する記事は調べてもそんなに多くは出てこない。

https://thumbor.forbes.com/thumbor/1280x868/https%3A%2F%2Fspecials-images.forbesimg.com%2Fdam%2Fimageserve%2F41571992%2F960x0.jpg%3Ffit%3Dscale

日本語は当然出てこないが、英語で調べても同じだ。

中国語で調べないとダメなのだろう。

もうそうゆう時代なのだ。

 

地球人最強説

こんばんわ。最近はyoutuberにすこぶるハマっているカヤバです。

さっきラファエルの動画を見てて思うことがあったので、感想を書いておこうと思います。

 

今までこのブログはテクノロジーとかインターネット関係の事柄限定で丁寧に丁寧に更新していたのですが、(その分更新頻度も低い)、

これからはわりと思ったことなんでも殴り書きしていくスタイルにしようかと思います。

 

昨日アップされたラファエルさんの動画をまだ見てない人は、

まずはDJ社長の動画から、次にヒカルの動画を先に見るのをおすすめします。

ちなみにDJ社長はマジでヤバイです、ルフィー現るです。

 

www.youtube.com

 

www.youtube.com

www.youtube.com

 

ラファエルの動画はシュールすぎて面白かったのですが、

ちょっと真面目に考えさせられる一面もありました。

ビッグバンとか宇宙が最初3mmくらいだった話とか地球の誕生とかのDetailについて

説明してくれるのですが、

普段意識することなんてないけど、改めてこうやって説明を受けると、

地球があること、そして今我々がこの時代を生きていることは本当に奇跡だと。

動画に出てくるミロクンミンギアとかいうキモかわいい生物に生まれてたとしても、完全なる奇跡でもうめちゃくちゃラッキーなはずなのに、我々は今、歴史上比較的平等な社会でありながら、なおかつテクノロジーが発展して超便利な21世紀に「人間」の体と脳を授かり、誕生している。

もう生まれた瞬間に死んでも悔いはないくらいラッキー。

 

そんな中で育って、大切な誰かと一緒に大切な時間を過ごすこととか、

そんなんもはや神を超越する領域ではないか。

そうゆう人に出会えること、それはもう素敵すぎる奇跡以外の何ものでもないと。

 

というのは置いといて、

動画を見ていて気づいてしまった、

自分がいつのまにか固定観念や常識にがんじがらめになっていたことに。

自分はここ20年の時代しか体験していないから、

ここ20年とここから先3年スパンでしか物事を捉えられていない。

視野がすこぶる狭いと。

僕は平和な日本で平和な生活が続き、ある程度想定の範囲内のことしか起きないと思っている。宇宙・地球の歴史的には、(スパンの違いがあるので比較として適切じゃいかもしれんが)、いつ何が起こってもおかしくない。人類が3年後に滅亡しても、宇宙の歴史的に考えればなんの不思議もない。そんなことは200%ありえないというのが20年しか生きていない僕の固定観念だ。

でも宇宙の歴史から見れば、なんでもありうると。

恐竜なんて一瞬でDisruptされたわけだ。

恐竜らは当時俺らTSUEEEEEE、俺らが永遠に地球代表だろ!って思ってたに違いない。

それが、わずか一日で隕石とかいうテクノロジーによってDisrupt。

 

これから100年、1000年単位で見ればどれほど変化するのか。

テクノロジーの進化スピードを鑑みれば、変化はこれまで以上に加速する。

自動運転とかよく言われてることは当たり前すぎる世界、キャッシュがなくなるのも当たり前、個人がYoutube、Showroomなど動画サービスやValueやTimebankなどの資金調達プラットフォームを駆使して絶大なる力を手にし、企業をも超越していく存在になるのも当たり前。アフリカの人がメルカリで中国人が出品した北京の中古の豪邸を購入するのも当たり前。今は全く想像ができないことも、なんでもありだ。常識が塗り替えられていく。いくらでもDisruptし放題、何度でもDisruptされうる。

 

昔就活のインターンでVRについてあつく語ったら女子学生に言われた。

「LINE以上のコミュニケーションツールなんてもう出てこないでしょ。これが最終形態だと思っている。」

とてつもなく反論したくなった。

こんなことをいう人もいる。

スマホ以上はもうないでしょ〜。」

「もうインターネットとかアプリとかは成熟しきってるよ〜。」

「ソーシャル領域ではインスタ・ワッツアップを操っているFacebook帝国に勝てないでしょ?」

そんなはずがない。不可能なんてない。

なんでもありだ!!

だってミロクンミンギアがYoutuberに進化する世界に生きてるんだから。

 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/11/Myllokunmingia.png/250px-Myllokunmingia.png

       ↓

 

http://potatoo.jp/wp-content/uploads/2017/09/ETrGiqP-1024x576.jpg

 

ちなみに孫正義という男は本気で300年スパンで物事を見ている。

こんだけ変化が激しく明日もわからない時代に部下に300年後の事業計画を策定させるなど、ぶっちゃけ甚だしいバカなのか、天才なのかw

 

 

あれ、何が言いたいんだっけ?

まあいいや、地球の話から始まったので、地球の話で終わろう、

とりあえず、レペゼン地球が日本一〜!!

スマホAR時代のSNS その2

前回記事では、人にARコンテンツを紐づけるSNSを考えました。

kayabaakihiko.hatenablog.com

今回は、モノとか場所に紐づけるアプローチを考えます。

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これなら、人にスマホをかざす必要はありません。

モノ、場所にARコンテンツを紐付けるSNSのアプローチ

東京の高校生

「ガンちゃん(3代目)が原宿のこのへんににARアップしたらしいよ!」

⇒「え~放課後見にいこ!」

ローラTwitterアカウント

⇒「ハチ公で拡張してきたよ~探してみてね、ウフフ」

高校生

 「3階の奥の空き教室の黒板に、スマホかざしてみてね!」

⇒3DのAR型誕生日メッセージが浮かび上がるとともに、友人が登録したボイスメッセージも同時に再生される。(誕生日おめでとう!っていうラインがくるより嬉しいはずだ。)

「先生の机にARうんこのっけたの誰だよwww」

 

どこかにユーザーがARコンテンツを登録する。そこにスマホをかざした第三者はその登録内容を見れるという仕組みだ。それはテキストかもしれないし画像かもしれないし3Dオブジェクトかもしれない。テキストを投稿する時代の「ツイートする」に相当するような新しい用語がこのAR時代には生まれているだろう。(既にARサービスBlipparではスマホをかざすことをBlippという)

 

コンテンツはネットにアップロードする時代から、現実にアップロードする時代になる。現実にあるデジタルコンテンツと写真を撮って、それをインスタに上げる。そんなサイクルもできるかもしれない。

そしてARコンテンツは必ずしもビジュアルじゃなくてもいい。

「声」や「音楽」を登録してもいい。

そこでしか聞けない音楽

そこでしか読めない文章

そこでしか見れない映像

好きな人が、どこで、どんな景色を見ながら、その音楽を聴いてたのか分かる、

感情移入できそうですね。(ストーカー匂もするww

 

こうやって、現実には何もないのに、デジタル世界ではどんどん情報が蓄積されていく。これが拡張現実の面白さだ。もはや魔法の世界のようだ。見えないモノが、コンピュータの目を通すと、見えるようになる。

 

AR型のSNSは、有名人あるいは身内間のクローズドなSNSというアプローチになるはず。知らない人が登録したARコンテンツとかどうでもいいからだ。

(観光スポットの英語解説、口コミ情報みたいな便利系のコンテンツなら、オープンSNSでも需要あり)

とはいえ、ツイッターと同じで、最終的にはオープンにも広がっていく。そのときは魅力的なコンテンツのみが拡散されていく。ネットやメディア上で、ここにこんな面白いARがあると話題になる。そうなるとデジタル観光スポットができるはずだ。現実には何もない空間に、人だかりができて、みんなスマホで写真を撮っている光景が見られるようになる。これがインスタ映えするコンテンツならなおさら強い。

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この羽の3DAR版とかね。

この羽がインスタで流行るのは、

インスタ映えする

・そこに実際に行かないと撮れない稀少性

の2つを満たしているから。

そうゆう意味ではお洒落でアート的な3DARコンテンツがわりと受けやすいと思う。

ローマが、何千年前の遺跡群が残された歴史の観光都市なら、

渋谷は東京オリンピックの頃にはデジタルAR観光都市に脱皮しているかもしれない。

チームラボにぜひとも活躍してほしいw

こうやって妄想する分にはARはめちゃ面白い。ただ実際にやるとなると、いろんな問題が考えられる。

課題1 ARならではのコンテンツとは??

実際どんなコンテンツを登録すればいいのか不明だ。

今のSNSでは、レストランに行ったら店内を、食べ物を写真で撮ればすむ話だ。

友達と遊んでいたら、友達の写真を撮ればいい。

これが、ARになった瞬間に、ユースケースがいっきに減ってしまう。

ツイッター・インスタではできないことが出来ない使い道がないと意味がない。

 

 仮にテキストなら、次のフェースブックが公開している動画の40秒のとこみたいなアプローチなら、納得がいく。

www.youtube.com

 

さらに3Dのコンテンツとなると、ユーザーが簡単に作るわけにもいかない問題が発生する。ある程度の型を運営側が用意することになるのか?

ふたをあけてみないと分からないと楽観視することもできる。

Youtubeに一番最初に投稿された動画は、動物園の退屈な動画だったってのは有名な話だ。今でこそYoutubeにはどんな動画がアップされ、ユーザーがどんな使い方をするかは鮮明にイメージできる。当時Youtubeのコンセプトを説明されても、誰が何のためにどんな動画をあげるのかイメージできる人は少なかったのではなかろうか。

課題その2 コンテンツ不足

現実の場所が多すぎるのに対して、それに付随するコンテンツが足りない。300人フォローしていたとして、街中を歩いていてはたしてどれだけのモノや場所に友人が登録したAR情報が紐付けられているでしょうか?あまりにもモノ、場所の数のほうが多くて、ARコンテンツが足りない。

これが仮に固定された狭い空間だったなら成り立つ。

高校の教室が最たる例だろう。

高校生らは毎日毎日教室という空間に通う。

「黒板に○○と○○のAR相合傘あるらしいよwww」

限られた空間に、仲間が集うため、コンテンツ不足問題は生じないし、コンテンツは毎日更新されていくはずだ。

 

課題その3 AR型SNSのジレンマ

ARは現実の実際のモノ、場所にデジタル情報を重ね合わせる。未来感あふれる。でもそれは裏を返せば、その場所に行かないとコンテンツを見れないということ。これから出てくる弊害は3つ

 ●エンゲージメント率の低さ

インスタ、ツイッターなら投稿した瞬間に全フォロワーにコンテンツが行き渡る。ARを登録してからユーザーがそれを見るまでに、タイムラグが発生する。そしてそもそも、わざわざ見に来てくれる確証はどこにもない。そうなったとき、ARでコンテンツを登録するユーザーのインセンティブがなくなる。

 ●利用頻度が限定される

前回記事でも書いたとおりだ。ツイッター、インスタは24時間どこでも見れる。電車でもできる。エレベータの待ち時間にもできる。夜寝る前ベッドの上でもできる。これこそインターネットの特徴を最大限に享受している。それが、ARだとその場所に行かないとできない。既存のSNSと比べると使える機会はめっきり減ってしまう。

 ●見返せない

インスタはもはや自分が所有するアルバムと化していますよね。これがARソーシャルだと、せっかくの思い出を見返せない!!せっかくばっちり決めた自分の考えを記したテキストや友達とのツーショット写真を現実にアップロードしても、そこに行かないと見返せない。

ここで思い出されるのが、スナチャとインスタのストーリー機能。アップした写真が消える。消えたら見返せないじゃないか!?と最初は思った人は多いはずだ。それでもバズりにバズった。

「見返せないというデメリット」 < 「残らないからこそぶっとんだ投稿もできるし、いいね数も気にせず気軽に投稿でき、投稿の心理的ハードルの低下からくるメリット」

という式が成り立つからだ。メリットがジレンマに勝った瞬間だ。

(しかもインスタの場合は、残したい画像はストーリーではなく普通のタイムラインに投稿すればいいだけ。)

見返せなくても、現実にコンテンツを登録し合う体験から得られるメリットが、ジレンマからくるデメリットを上回れば、ユーザーは動くはず。 

 

課題の解決策

街を歩きながらたまたま友達のARコンテンツに遭遇する。そんなポケGO的サービスを想像するから難しい。

⇒インスタで写真を撮ったらすぐにフォロワーにシェアできるように、ARも登録した瞬間にその画像・動画をタイムラインにもシェアできるようにすればいい。それを見たフォロワーは、面白そうだと思ったら見に行けばいい。

インスタで友達があげていたお洒落なお店を実際に行ってみるのと同じだ。ネット上で知ったARコンテンツを気に行ったら、ピンポイントで見にいけばいいだけ。

(友達がARコンテンツをアップした瞬間に、通知が来る。あるいは、フォローしてる人がアップしたARコンテンツの近くに来たら、通知がくる。という仕掛けも考えられるが、これだけだと、フォロワーの目にARコンテンツが届くとは限らないから、ARを登録するインセンティブが足りない。)

ちなみに課題1の、ARならではのコンテンツとは??という疑問はいまだ残る

 

既存サービス

ここでいったん立ち止まって、歴史を振り返ってみよう。

やはりインターネット業界の先駆者たちはすごくて、昔に既にサービスとして出している。

セカイカメラだ。これはユーザーが場所にARコンテンツを登録していく、オープンなサービスです。

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このサービスは2009年にリリースされたが、残念ながら失敗してしまった。その要因について、セカイカメラのCEOが次のように述べている。

運営会社CEOが語る「セカイカメラ」の終わりと未来 | 日刊SPA!より抜粋

「まず、ダメだった点から3点お話しします。1つ目は、使うにあたりスマホをかざさなくてはいけなかったこと。セカイカメラが登場する前から研究されていたAR(拡張現実)を、スマホというデバイスを使って身近なものにしたことは大きい。けれど、かざすのは実際恥ずかしいですよね。周辺の情報はスマホの画面を見てリストや地図で見るのでも十分なわけですし」

たしかに、繁華街でスマホをかざすと不審な目で見られる。さらに、「2つ目は、情報の整理ができていなかったこと。街中を歩いていると多くの情報が目に飛び込んできます。混沌としている現実に、混沌としているウェブ上の情報を載せると、混沌が合わさって、何を見たらいいのかわからない、有用な情報の取捨選択を困難にしてしまった。3つ目は、毎日使う必要性がないこと。いつもの通勤経路で、馴染みの繁華街で、前に見たときと違う情報があれば人は使うけど、それがわからなければ使ってくれない」

人・モノ・場所に紐付けるAR型SNSは、自分がフォローしている人が登録したものしか浮かび上がらないから、2つめの情報のカオス問題はクリアしている。(その代わり、コンテンツ不足問題が生じるが)。コンテンツを登録する人も、オープンに公開するのか、フォロワー限定に公開するのか選択できるようになるはずだ。ここはツイッターとおんなじだ。

そしてSNSなので、ユーザーはTwitterのようにその都度登録しているARコンテンツを書き換えたり(人に登録する場合)、新たに登録(場所に登録する場合)していくので、毎日使う必要性がないという壁もクリア。

1つめの、スマホをかざさないといけない壁は、越えられない壁。

 

それでもなにより、技術・ユーザーの動向の変化を考慮しないといけない。

セカイカメラは早すぎた。

ARの精度は当時より上がっているし(そもそもセカイカメラで登録するテキスト/画像の“エアタグ”は二次元の平面だ)、ユーザーもポケGOでARの使い方を覚えただろう。

 

最近のサービス

セカイカメラ以外にこうゆうサービスは見聞きしたことがなかったが、

つい最近MIRAGEというアプリを発見した。8月にリリースしたばかりだそうだ。

Apple出身者が開発!ARを応用した画像コミュニケーションアプリ「mirage」 | Techable(テッカブル)

実際に使ってみたが、この記事で書いてきた問題を1つも解決できていないので、

流行らないと思う。一応画像を載せておこう。

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紐づけたい対象をカメラでぱしゃり。

テキストでも写真でも3Dスタンプでもなんでものっけられる。

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いえい。

上記はiPhoneだが、iPadで別のアカウントを登録して、かざしてみたらちゃんと幽霊が浮かび上がった。

 

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公開範囲を選べる。Publicにしたら、はてなマークのアイコンが自分のプロフィールアイコンになる。もちろん、このマニアックなアプリを使ってる人が僕の周辺にいるはずがないがw

POKEMON GOは流行ったじゃん?

 待てよ、こんなだけ課題が山積みなのに、ポケGOはなんで成立したんだ??

よく言われている、「ポケモンはARというより、最強のIPがあったから成功しただけ。」と簡単に結論づけることもできるが、もう少し考えてみよう。

・コンテンツ不足問題

→コンテンツ(ポケモン)は運営側が無限に作って、そこら中に落としまくれる。

・ARのジレンマ問題がない

上記の無限に生成されたポケモンは、GPSの「位置情報」に紐づいているので、電車の中でも家でも遊べる。

・コンテンツが変わらない問題もない

→日にち、時間帯によってどこの場所にどんなコンテンツを落とすかを運営が自由自在に操れるので、コンテンツは日々変化する。

 

最後に

上記のようにいろんな課題を見てきた。

これらの問題を交わす仕掛けを上手に作って、ARファーストなインターフェースで最適なフォーマットでサービスを提供できたところが勝つのだ。

次は、ARコンテンツを紐づける対象がないアプローチを考えてみるよ!

 

追記20170921

9/20にARKit対応のiOS11が公開され、WorldBrushというアプリが出てきました。スマホ上での描画がそのままその場所に残り、第三者が見れるというもの。

スマホAR時代のSNS その1

ども。無事に社畜デビューをはたしたカヤバXです。

 

さてさて、アップルがiOS11でAR KITを発表し、それに続いてグーグルもAR Coreを出してきました。GoogleTangoというAR機能が備わったスマホがなくても、これからは全世界のiPhone/Android端末でそこそこちゃんとしたARが使えるようになるわけだ。

 

当たり前だが新しい機能が付くということはそれだけチャンスがあるということ。

スマホに位置情報機能があったから、ウーバーやティンダー、ポケGOみたいなメガサービスが誕生した。スマホにカメラがついてたからインスタやスナチャみたいなものが台頭した。じゃあスマホにARが付いたら、何が出来るようになるのか?それはまだ誰も分からないのかもしれない。使い方に気付けた人だけが次の時代に出てくる。着々と準備をしている開発者もいることだろう。

 

正直ARで出来るようになることは山ほどある。

医療、建築、教育、家具、ファッション、観光、地図ナビ、ゲーム、あげだしたらきりがない。

www.youtube.com

 

 

今回はとりわけAR×SNSについて、スマホで何ができるかについて考えてみましょう。ちょうど1年前に書いて眠っていた下書きを掘り起こしてきました。ARブームが来る前に、妄想を膨らませてみようと思います。

 

 ARのSNSといっても、アプローチはいろんな方法があるんですね。

今回の記事では、人にコンテンツを紐づけることを考えてみましょう。

 クラスで友達や好きな子に向けてスマホをかざしたら、その人が自分で設定したARコンテンツが浮かび上がる。浮かび上がるものは、例えば今日の気分のテキストかもしれない。(LINEのプロフィールに付いているステータスメッセージみたいな感じですね。)「今日は話しかけないでください。」「このあとバイト憂鬱・・・」 みたいな感じかもしれない。Twitterのつぶやきとは重なるところもありますが、完全には一致しませんね。あるいは何かしらの3Dキャラクターが現われるかもしれない。画像かもしれない。(誕生日や趣味みたいにプロフィール的な内容もありえますが、それだとコンテンツ固定で一回みたら終わりでしょう。)

それよりも、「今日、いま(この時間)のあの子にはどんなARコンテンツが紐付いているんだろう・・・?」「いまどんなことを考えてるんだろう??」って好奇心をそそられるコンテンツのほうがいい気がします。正直いまの時点ではどうゆうコンテンツが一番最適か分かりませんが。

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(この画像はあんまりイケてないw)

 

そして自分にコンテンツをタグ付けする以外にも、友達にARコンテンツをタグ付けできるかもしれない。(いじめに発展しそうですがw)

やるなら、まずはクローズドなSNSからはじめるべきでしょう。(いきなりオープンでやっても誰も使ってないのできついですw)中高のクラスや大学のサークルとかで流行らせてから広げる。まさにフェースブックと同じ路線ですね

クローズドからオープンになるとどうなるのか?すれ違いの人、電車の人、街中の人にスマホをかざしたらARコンテンツが浮かび上がる。共通の趣味の持ち主が見つかるかもしれない。美女と友達になれるかもしれない。

ただ、AR✕オープンSNSはあまり成立しない。電車でまわりにいる人の情報とか非常にどうでもいいからw そして仮に共通の趣味の人を見つけたとしても、日本人に、赤の他人に話しかける勇気がありますか?ないと 思いますw 勇気以前に、わざわざ話しかける面倒くささもありますね。そこまでするほどじゃないという。それに、ARコンテンツを登録する側も、現実世界のまわりの見ず知らずの人に自分の情報(たとえそこまで個人情報じゃなくても)を1ミリでもオープンにするインセンティブがない気がします。女子高生や女子大生からしたら知らない人に自分の情報知られてるとかガクブルものですね。

もちろん、TinderでARモードを許可している人限定で、すれ違い様にということならありうるでしょう。

となるとクローズドSNSの路線が濃厚でしょうか。

しかし色々と壁が立ちはだかります。

壁その1 スマホを人にかざす心理的ハードル

ポケモンGOはなにもない空間にかざしますが、人に向けてARカメラを起動するとなると話は変わってきます。カメラ向けられると反射的に嫌がりますよね(写真取ろー!っていう場合を除いて)盗撮みたいになっちゃいますね。スマホをかざすほうもかざされるほうも心理的抵抗発生します。これは、スナチャのSpectacles、グーグルグラス、アップルが粛々と準備を進めているアップルグラスが一般普及すれば解決する問題です。顔にデバイスが常備されているので、「かざす」必要がないので両者とも抵抗ないです。

壁その2 わざわざスマホをかざすのはめんどくさい

ポケモンGOはお目当てのポケモンがリアル世界に現われる。最初は面白いからみんなやるでしょう(途中からARモードは使わなくなった人が多数みたいですがw)

友達にスマホをかざして出て来るARコンテンツが、ポケモンに匹敵するかっていう話です。スマホをわざわざかざしてまで見たいものか?

あるいは、圧倒的にユーザーがスマホをかざしてみたくなるようなARにコンテンツを人に紐付けさせる仕組み作りができればワンチャンあるかもですね。

壁その3 サービス使用頻度が圧倒的に少ない

電車に乗っているとき、家にいるとき、トイレにいるとき、このSNSは使えません。友人と一緒にいる時だけです。フェースブックTwitterのようなソーシャルはいつでもどこでもできます。ですがこの種のARのSNSとなると限定されてしまうんですね。

オープンSNSにするという選択肢で解決しますが、オープンSNSは最初に書いたように微妙。

こうなると、使用頻度が圧倒的に少なくなってしまうので、ユーザーの可処分時間を全く奪えません。となると後々のマネタイズも難しいでしょう。

実際にこの1週間でもしこのSNSがあれば、使うタイミングがどれほどあったか考えてみると、あんまりイメージできない。

そんなこといったらSNOWみたいな、友達と一緒に自撮りをしながら使う加工アプリも使用頻度高くないじゃん。確かにそうだ。そのかわりSNOWはメール機能がついているのでこれでユーザーの使用機会、時間をアップさせています。まあLINEみたいな会社が、1機能として実装する分には、使用頻度とかそこまで気にしなくていいんですけどね。

 

既存サービスいろいろ

ちなみに調べると実はけっこうあるんですよね。

www.youtube.com

昔twitter360というサービスが前あったっぽいです。

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 ホロレンズでは最近こんなアプリも出てきている。

また、Blipparという、もともとARを用いた商品プロモーションがメインだった有名AR企業が、最近、次のような機能を追加してきました。

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まず顔認証で自分の顔を登録する。そこから、自分が好きな音楽をSpotifyから登録したり、Twitter連携で最新のツイートを登録したりできる。スマホで顔をかざすと、まん丸いアイコンが出てきて、ツイッターアイコンとかを押すともっと詳しく出てくる。

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写真や動画も自分に紐づけられる。ついでに自分に似ている人の写真を自動的にとってきて、70%一致 みたいな文言付きで紐づけることもできる。謎の韓国の人出てきたンゴwww 誰w

 

なかなかおもしろいサービスですが、みんながこれをスマホでやるのはあまり想像ができない。

 

上記のとおり、いくつか既存サービスをあげましたが、

なんだ、もうあるじゃん。と諦めるのは早い。

サービスには早すぎた、遅すぎたがある。技術的に出来ることとユーザーの関心・ニーズとの兼ね合いもある。

フェースブックが出た時はSNSなんて既にあったことは有名だ。

また、フォーマットを少し変えるだけで、SNSというものはまったく新しいものに生まれ変わる。ツイッターフェースブックもインスタも、基本的にはテキストと画像しか使っていないのだから。

試行錯誤しながらユーザーに最適なフォーマットを提供できたところが勝つのだろう。

 

脱線しましたが、人にARコンテンツを紐づけるアプローチはスマホARだとなかなか難しい。これはスマートグラスがマスに普及するまで末永く待つしかないのかもしれない。じゃあ次は、モノや場所にARコンテンツを紐づけるアプローチについて考えみるよ~

ヲタクコンテンツで世界に打って出る!VRベンチャーMyDearest

 

リゼロが終わってしまって完全虚無モード突入してるカヤバです。。。

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先日、VRベンチャーを訪問させていただいたので、紹介します。My Dearest(マイ・ディアレスト、MD)さんです。

(先日と言っても8月に遡りますが。。。怠惰すぎて遅れました、ペテルギウスさんに怒られそうだ)

 

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 目次

 

ソフトバンクを1年でやめて起業

CEOは岸上健人さんで、四国出身、慶応卒で20代です。

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 名刺を頂く瞬間にドキッとしたのは初めてですwww

「少女マンガの詳しさならどの女の子にも負けない自信がある!」と言い切る岸上さん。小学生の時からラノベやアニメ、ゲームはバリバリだったそうです。中高は部活に励み、大学でまたラノベ等に復活。ラノベ・アニメ「ソードアート・オンライン(SAO)」が大好きすぎて、VRで起業ってのは大学4年時に決めたそうです。孫さんへの敬意から、一度ソフトバンクに入社。そして2015年の第2回オキュフェス(VR開発者団体によるイベント)にて、エンジニアの方々の物凄い「静かな」熱気を感じ(エンジニアの方々は表立って騒がないらしい)、ソフトバンクをやめて今年2016年に起業。社員と何をやるか話し合ったら、みんなヲタクだし、やっぱりコンテンツを作りたい!となった。オキュフェスでもコンテンツへのニーズは確認済み。

ちなみに孫さんの後継者育成塾のソフトバンクアカデミアを内定者時代に受けて、合格し所属しているみたいです。(アカデミアは1学年の同期で1人しか受からないような超難関なはずです。)

そんなソフトバンクアカデミア時代からVRVRとおっしゃられていたみたいです。

 

IP(Intellectual Property)を取りに行く。そして、メディアミックスが鍵を握る。

実際に何をやっている会社なのか?

IP(Intellectual Property、知的財産。例えばポケモンとかワンピースのキャラとかですね)を新たに作り、それをメディアミックス形式で配信していくという感じです。

メディアミックスとは、例えばある作品のラノベが最初にあって、そこからアニメ化、漫画化、映画化、グッズ化というふうにあらゆるメディアに広がっていった状態をメディアミックスと呼ぶそうです。メディアミックスを最初に確立したのは角川らしいです。いま一番アツいアニメの一つ、Fateがメディアミックスの良い例らしいです。もともとはノベルゲームで、今は世界で大人気なんだとか。

このように原作を持ち、IPを持てると、メディアミックスによって収入が入ってくる。

なので、MyDearestもIPとなりうるキャラやストーリーをオリジナルで新しく作ろうとしているそうです。ちなみにIPのカギはキャラ、グラフィック、ストーリーの面白さ、だそうです。そこで、MyDearestは界隈なら誰でも知っている有名なプロデューサーや実力・実績のあるシナリオライターの方に協力してもらっているらしいです。そしてCEOの岸上さんは、最近は脚本家っぽい役割も担っているとのこと。

「好きな子との対面シーンで、この男の子がこんなにも落ち着いているはずがないっ!!!」と主張したり。完全にベンチャーのCEOから脚本家モードに切り替わってますねw

そして、VRはメディアミックスのうちの1つの手段にすぎない。なので、仮にVRが将来的にこなかったとしても、MyDearestは成り立つ。「基幹部分をいかにVRに依存しないか」ということを意識しているようです。なのでVR以外のコンテンツも世に出す予定だそうです。

黎明期のVR界隈は、いまはプログラマーばかり。プログラマーはゲームが好きなので今はVRはゲームが多い。MyDearestはゲームだけじゃなくて、全部好き。ゲームももちろんやるつもりだけど、ラノベとかアニメとかあらゆるものをやりたい。

仮にゲームをやるとしても、IPになりうるか?ということをまず考える。ゲーム内のキャラクターが後々たつかどうか。グッズにできるかどうか。メディアミックスにして、マネタイズできるのか。

そして今開発中なのが、VR書籍だそうです。

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(画像:公式ホームページから引用)              

ラノベとかをVRで体験する。基本は活字を読み進めていくが、ところどころVRコンテンツをポップアップさせたり。オフィスでプロトタイプを体験させていただきましたが、VR上でもふつうに活字読めました。

 

いきなり世界で勝負する!日本は戦国時代だから避ける!

アニメなどの市場は日本は群湯割拠状態なので、日本では勝負しない。世界をターゲットにする。日本のヲタクコンテンツの人気は世界でうなぎのぼり状態。中国のヲタク人口は2億人もいる。その人達は中国語の字幕付きで日本のアニメを見まくっているので、日本語もけっこう分かるらしいです。中国のニコ動のような動画サービスの「ビリビリ」は日本のアニメにもかなり食い込んできているようです。

ちなみに、ヨーロッパではフランスがアニメ大国らしいです。そしてVR学会が存在したのも、日本とフランスだけ。

MyDearestはカルチャー系スタートアップを目指す

MyDearestは自分たちのことをカルチャー系スタートアップと呼んでいるそうです。テクノロジーがどれだけ進んでも変わらない会社とのこと。テクノロジーはあって当然。それにカルチャー的付加価値(日本の文化であるヲタクコンテンツ)を加えていく。上記にあるように、VRはそれらのカルチャーを売るうえでの一つの柱だそうです。

フルーツバスケットで人生が変わる。エンタメには人の人生を変える力がある。

「エンタメ(ゲーム、漫画、アニメなど)は別に何か人の課題を解決したりしないじゃないか」

人の課題を解決してるわけじゃないからお金は出さない、という投資家の方もいたりするらしいです。

ですが、岸上さんは力強くおっしゃいました。

「エンタメコンテンツは、人を変える力があると信じている。」

どうやら岸上さん自身、エンタメに救われた過去があるみたいです。

小学校4年生の時です。それまではいじめられたこともあり、勉強やスポーツも得意ではなかった。そんな内気な性格だった頃に、少女漫画のフルーツバスケットという作品に出会った。

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姉と母がフルーツバスケットを読んでいて、たまたま読み始めた。優しさで包み込む作品に感銘をうける。こんな優しさが存在するのか、、、。

そこからポジティブに前向きに変わり、人生がガラッと変わったらしいです。たしかに岸上さんはめちゃくちゃ外交的でエネルギーに満ちていて、とても面白い方という印象を受けたので、内向的な一面は全く垣間見えませんでした。そんなこともあって、

人の人生を変えるコンテンツを作りたい。人に勇気を与えるものをつくりたい。

と思ったそうです。

(僕も、最近リゼロに救われたので、少なからず賛同します。それ以前にも音楽に何度も救われましたw)

VR/AR全般のお話

非常に独特で面白い会社ですね!それ以外にも色々と聞いてきましたので、少し箇条書きで紹介したいと思います。

・今のVR界隈は、プログラマーと3DCGクリエイターの交わりがあんまりない。その両者をそろえているのはゲーム会社くらい。だけどVR系ゲーム会社はプログラマーだらけだから、3DCGのことはそこまでつっこまない。MyDearestは3DCGクリエイターの役割もめちゃくちゃ重視している。

・VR系企業は3DCGクリエイターを探す方がエンジニアを探すより1000倍大変。3DCGクリエイターは需要のわりに供給が足りていない。

スマホVRの可能性。高性能PCを必要とするオキュラスやHTC Viveにいまのところ、面白いゲームはあまりない。googleスマホがdaydream対応になっていくので、そっちの方が伸びそう。

 ・「VRはヲタクの技術、ARはリア充の技術!」VR界隈ではこうゆう格言があるみたいですw  gumiのCEOの國光さんも同じようなこと言っていました:

日本には「攻殻機動隊」や「ソードアート・オンライン」など、VRに親和性の高いコンテンツがすごく多い。向こうのリア充でVRをやってるヤツらと違って、俺らは何年間バーチャルで過ごしてきたと思ってるんだと

 ・VRにしても、アメリカにないものをやらないと価値は残らない。ヲタクコンテンツがその代表。アジアのVRの勝機があるとすればそこ。アメリカのVRは現実寄り。現実を再現しても意味がない。

(Virtual RealityのVirtualは「実質的に」という意味がある。実質的に現実に近いという意味のVRを、日本人は仮想的な現実と誤訳してしまった。なので日本は仮想的コンテンツ路線が多い。たしかに、戦艦大和や宇宙戦艦大和、宗教の世界観(死後の冥界とか聖書に出てくる世界とか)、「君の名は」のような、いま現実には存在しない物や世界を再現してこそ、価値があるかもですね。あるいは、火星や火山のように、現実には存在しても、様々な制約でなかなか体験できない物とか)

VRはテレビやデスクトップPCと同じ。ARはスマホ、モバイルに相当する。VRは止まって体験するもの。余暇の時間に、浸れ込む体験。それに対してARは移動を伴う。

・VRはARより市場規模小さいっていろんな人は言うけど、大事なのはどっちが得意で、どっちがやりたいか。

・ARは下手にいくと死ぬ。ホロレンズとかまだ先。様子見の段階。ポケモンGOポケモンだから流行った。

( なんでまだARは様子見の人が多いのかは、次の記事を参照してみてください。一言で言うと、今のスマホARはレベルが低いからだと思います。Snapchat(Snap)が目指す未来 【ARとコンピュータービジョン】 - kayaba_akihiko’s VR ARブログ

とはいっても、インドネシアにはARバリバリの企業も既にあったりします。東南アジア最大のAR(拡張現実)ベンチャーの創業者に会ってきました! - kayaba_akihiko’s VR ARブログ )

 ・現状はHTCVive強いけど、オキュラスタッチが出たらオキュラスも強くなる。HTCViveのコントローラーとはレベルが違う。

SF小説を読んで育ったのがマーク・ザッカーバーグパルマー・ラッキー、イーロン・マスク日本のVR勢はみんなSAOとかのアニメ、ラノベ、ゲームで育ってる。日本のVR学会ではみんな漫画の話をする。攻殻機動隊ではこうだから、こうしよう。という発想。

・アップルとVRはあまり相性よくないかも。アップルはオシャレだけど、VRはヲタク寄りである意味で洗煉されていないことも大きな魅力の一つ。

・社長は自分でやろうとする気持ち、姿勢が大事。スタートアップは優秀なエンジニアの確保が難しいとはよく言いますが、クラウド会計ソフトを作っているfreeeの佐々木大輔社長は独学でプログラミングを学び、プロダクトを作っていたそうです。そしてスタバでたまたまコードを書いていた学生に声をかけたらしいです。そのスーパープログラマーの学生は社長が自ら作ったプロダクトを見て、コーディングが滅茶苦茶だと思ったものの、自分で形にしようと頑張っているところに惹かれ、アルバイトとしてジョインすることにしたとか。コードが滅茶苦茶だとしても、「書ける」ことが重要みたいです。

 

こちらのインタビューにもいろいろ掲載されていますのでぜひ参照してみてください。

www.sbbit.jp

公式ホームページ : MyDearest inc.

 

MyDearestさんによる、日本を代表する世界的IPの完成が楽しみです\(◎o◎)/!

 

(終わり)

 

Snapchat(Snap)が目指す未来 【ARとコンピュータービジョン】

僕もミランダカーと結婚したいです。カヤバですw

今日のSnapchatに関する記事はだいぶ前から下書きに保管してちょっとずつ書いていましたが、「SnapchatがSnap Incに社名を変更、カメラ企業へというのが今日ニュースになってしまったので、これを機に急きょ公開しますw

www.itmedia.co.jp

スナチャが何を目指し、どうゆう展望を描いているのか考えてみます。(もうスナチャという名前を使うのもやめたほうがいいのかw)

目次

Snap Incはカメラ企業??

スナップチャットをただのメッセージングサービスだと思ってる方は油断しているかもしれません!!いつの間にか彼らはAR(拡張現実)/コンピュータービジョンの会社に脱皮していました。実際今日チャットという言葉を会社名から消しちゃいましたw そして上記リンクにもあるように、「Snap Inc is a camera company」と公言しています。

Snapchatのセルフィー顔画像/動画の加工路線

送った画像が消えるという機能からはじまり、それでバズったスナップチャットですが、最近はセルフィーによる顔の加工路線が目立ちますね。ちなみにこれはれっきとしたAR(拡張現実)です。

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 スナチャの歴史についてはこちらのスライド参照してみてください。非常に面白いです。

techcrunch.com

コンピュータービジョンのベンチャー企業を買収

そんなスナチャは今年の6月にコンピュータービジョンのベンチャー企業、Seeneを買収しています。ここはどうゆう会社かというと、顔の3D認証に挑戦している会社です。

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なんでこんな会社を買ったのか??

それを理解するにはまずコンピュータービジョンという言葉の理解が必要だと思います。

コンピュータービジョンとAR(拡張現実)

コンピュータービジョンとはすなわち、コンピューターの「目」、「視界」のことを指します。例えばスマホのカメラとか、ペッパーの目とかの視界ですね。コンピュータービジョンはコンピューターの視界を我々人間の視界に近づけるような研究をしています。実はスマホのカメラ越しに映る世界と、僕達人間の目で見ている世界は全然違うのは知ってますか??

僕達は、ちゃんと3D空間を認識できます。奥行きを把握できます。空間を立体的に捉えることができます。現在のスマホでは、初歩的なレベルでしかそれができません

そうなるとどうなるか??AR(拡張現実)で支障が出てくるんです。ARコンテンツが、本来あるべきところに対して、ずれて表示される。リアル世界に自然に沿う形でARコンテンツが浮かび上がらない。当然ですよね。スマホだと空間を認識できていないので、その上に何かを正確に重ね合わせるとかきついです。

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こうゆう不自然なことが起きてしまいますw このように、コンピュータービジョンとAR(拡張現実)は切っても切り離せない関係にあります

ポケモンGOのAR(拡張現実)については次記事を参照してみてください。)

kayabaakihiko.hatenablog.com

Google Tango、Microsoft Hololense、Magic Leapの動き

そこで数年前に立ち上がったのがGoogleのTangoというプロジェクトです。スマホで3D空間を認識できるようにしようというプロジェクトです。

www.youtube.com

今年の11月にLenovoからそのスマホが発売されます。

そして先日発売されたiPhone7にはカメラが2つついていますよね?Dual Cameraってやつです。

vrscout.com

人間と同じように「目」が2つになることで、空間をより立体的に把握することができるようになるはずです。(試しにいま片目をつぶって前を見てみてから、途中で両目を開けてみてください。モノとモノの距離がいまいちつかめないフラットな世界が、奥行きがある3D世界に変化します。)

このように、スマホが3D空間を認識できるようになる流れは間違いなくきます。スナチャも当然それを分かっています。そして、メガネ型デバイスの場合はマイクロソフトのホロレンズとマジックリープが主導しています(今日のニュースのスナップのメガネデバイス、スペクタクルズも一応追加w)。マジックリープによる次のデモ動画をご覧ください。どれだけ現実世界に対して、自然にARコンテンツを浮かび上がらせているか、すごすぎますw ここまでは今のスマホではできないことです。

www.youtube.com

スナップチャットの展望

もう一度コンピュータービジョン企業Seeneの買収に話を戻しましょう。

今のスナチャのARは、スタンプレベですね。

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本当にヘルメットをかぶっているようには見えませんよね。スタンプの絵を追加して遊んでる感じです。ですが、レベルの高いコンピュータービジョンによって、スマホで顔の3D認証ができるようになれば、もっともっとリアルなARコンテンツ付加が可能になるはずです。本当にダースベーダーやアイアンマンのヘルメットをかぶっているような画像・動画を撮ることができるようになります。

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さらにはもしかしたら、スカイプの3D版みたいな機能も実装してくるかもしれないですね。(そして多分ないとは思いますが、VRに進出することで、「会う空間、場」をつくることができれば、そう遠くない未来には本当に対面で話しているかのように機能も実装できちゃいそうですね。スマホ越しだと本当に目の前にいる感覚にはなりません。)

スナチャのARはおそらく顔加工だけにとどまりません。コンピュータービジョンの会社を買ったということは、現実空間に超リアルなARコンテンツを浮かび上がらせることができるはずです。スパイダーマンバットマンスマホ越しに、リアル空間に召喚できる。そしてそのようなマーベルコミックスのキャラクターと一緒に写真をとったり、インタラクトできるようになる。その動画を友達にシェアできるようになる。そして、今のスナチャのARコンテンツはエンタメメインですが、便利系も出てくるかもしれません。(個人的にはコミュニケーションという軸は変わらないと思います。コミュニケーションをARコンテンツによってもっとリッチにしていく方向性かな?)

グーグルTangoの機能を備えたスマホマイクロソフトのホロレンズ、マジックリープの網膜照射型メガネデバイス等が主流になった時代には、スナップチャットは戦いの中心にいることでしょう\(^o^)/

いやー、エバン・シュピーゲルさんSUGEEEEE

 

(P.S)

コンピュータービジョンについてもっと詳しく知りたい人は、次の連載を読んでみてください!連載ではARの細かい技術的な話もバンバン出てくるので勉強になります!

news.mynavi.jp

(終わり)

 次回は他のメッセージングアプリが淘汰されかねない未来について書きます!

 

-------2017年2月26日 追記 ----------

最近以下の記事が流行ってるようです。

僕はテクノロジー目線でスナップについて書いてしまいましたが、

これはユーザー目線、人間中心の目線で的確に真実を語っていて良記事だと思いました。こっちのほうがいいですw ご参照くださいませ。

www.fuze.dj