リゼロが終わってしまって完全虚無モード突入してるカヤバです。。。
先日、VRベンチャーを訪問させていただいたので、紹介します。My Dearest(マイ・ディアレスト、MD)さんです。
(先日と言っても8月に遡りますが。。。怠惰すぎて遅れました、ペテルギウスさんに怒られそうだ)
目次
- ソフトバンクを1年でやめて起業
- IP(Intellectual Property)を取りに行く。そして、メディアミックスが鍵を握る。
- いきなり世界で勝負する!日本は戦国時代だから避ける!
- MyDearestはカルチャー系スタートアップを目指す
- フルーツバスケットで人生が変わる。エンタメには人の人生を変える力がある。
- VR/AR全般のお話
ソフトバンクを1年でやめて起業
CEOは岸上健人さんで、四国出身、慶応卒で20代です。
名刺を頂く瞬間にドキッとしたのは初めてですwww
「少女マンガの詳しさならどの女の子にも負けない自信がある!」と言い切る岸上さん。小学生の時からラノベやアニメ、ゲームはバリバリだったそうです。中高は部活に励み、大学でまたラノベ等に復活。ラノベ・アニメ「ソードアート・オンライン(SAO)」が大好きすぎて、VRで起業ってのは大学4年時に決めたそうです。孫さんへの敬意から、一度ソフトバンクに入社。そして2015年の第2回オキュフェス(VR開発者団体によるイベント)にて、エンジニアの方々の物凄い「静かな」熱気を感じ(エンジニアの方々は表立って騒がないらしい)、ソフトバンクをやめて今年2016年に起業。社員と何をやるか話し合ったら、みんなヲタクだし、やっぱりコンテンツを作りたい!となった。オキュフェスでもコンテンツへのニーズは確認済み。
ちなみに孫さんの後継者育成塾のソフトバンクアカデミアを内定者時代に受けて、合格し所属しているみたいです。(アカデミアは1学年の同期で1人しか受からないような超難関なはずです。)
そんなソフトバンクアカデミア時代からVRVRとおっしゃられていたみたいです。
IP(Intellectual Property)を取りに行く。そして、メディアミックスが鍵を握る。
実際に何をやっている会社なのか?
IP(Intellectual Property、知的財産。例えばポケモンとかワンピースのキャラとかですね)を新たに作り、それをメディアミックス形式で配信していくという感じです。
メディアミックスとは、例えばある作品のラノベが最初にあって、そこからアニメ化、漫画化、映画化、グッズ化というふうにあらゆるメディアに広がっていった状態をメディアミックスと呼ぶそうです。メディアミックスを最初に確立したのは角川らしいです。いま一番アツいアニメの一つ、Fateがメディアミックスの良い例らしいです。もともとはノベルゲームで、今は世界で大人気なんだとか。
このように原作を持ち、IPを持てると、メディアミックスによって収入が入ってくる。
なので、MyDearestもIPとなりうるキャラやストーリーをオリジナルで新しく作ろうとしているそうです。ちなみにIPのカギはキャラ、グラフィック、ストーリーの面白さ、だそうです。そこで、MyDearestは界隈なら誰でも知っている有名なプロデューサーや実力・実績のあるシナリオライターの方に協力してもらっているらしいです。そしてCEOの岸上さんは、最近は脚本家っぽい役割も担っているとのこと。
「好きな子との対面シーンで、この男の子がこんなにも落ち着いているはずがないっ!!!」と主張したり。完全にベンチャーのCEOから脚本家モードに切り替わってますねw
そして、VRはメディアミックスのうちの1つの手段にすぎない。なので、仮にVRが将来的にこなかったとしても、MyDearestは成り立つ。「基幹部分をいかにVRに依存しないか」ということを意識しているようです。なのでVR以外のコンテンツも世に出す予定だそうです。
黎明期のVR界隈は、いまはプログラマーばかり。プログラマーはゲームが好きなので今はVRはゲームが多い。MyDearestはゲームだけじゃなくて、全部好き。ゲームももちろんやるつもりだけど、ラノベとかアニメとかあらゆるものをやりたい。
仮にゲームをやるとしても、IPになりうるか?ということをまず考える。ゲーム内のキャラクターが後々たつかどうか。グッズにできるかどうか。メディアミックスにして、マネタイズできるのか。
そして今開発中なのが、VR書籍だそうです。
(画像:公式ホームページから引用)
ラノベとかをVRで体験する。基本は活字を読み進めていくが、ところどころVRコンテンツをポップアップさせたり。オフィスでプロトタイプを体験させていただきましたが、VR上でもふつうに活字読めました。
いきなり世界で勝負する!日本は戦国時代だから避ける!
アニメなどの市場は日本は群湯割拠状態なので、日本では勝負しない。世界をターゲットにする。日本のヲタクコンテンツの人気は世界でうなぎのぼり状態。中国のヲタク人口は2億人もいる。その人達は中国語の字幕付きで日本のアニメを見まくっているので、日本語もけっこう分かるらしいです。中国のニコ動のような動画サービスの「ビリビリ」は日本のアニメにもかなり食い込んできているようです。
ちなみに、ヨーロッパではフランスがアニメ大国らしいです。そしてVR学会が存在したのも、日本とフランスだけ。
MyDearestはカルチャー系スタートアップを目指す
MyDearestは自分たちのことをカルチャー系スタートアップと呼んでいるそうです。テクノロジーがどれだけ進んでも変わらない会社とのこと。テクノロジーはあって当然。それにカルチャー的付加価値(日本の文化であるヲタクコンテンツ)を加えていく。上記にあるように、VRはそれらのカルチャーを売るうえでの一つの柱だそうです。
フルーツバスケットで人生が変わる。エンタメには人の人生を変える力がある。
「エンタメ(ゲーム、漫画、アニメなど)は別に何か人の課題を解決したりしないじゃないか」
人の課題を解決してるわけじゃないからお金は出さない、という投資家の方もいたりするらしいです。
ですが、岸上さんは力強くおっしゃいました。
「エンタメコンテンツは、人を変える力があると信じている。」
どうやら岸上さん自身、エンタメに救われた過去があるみたいです。
小学校4年生の時です。それまではいじめられたこともあり、勉強やスポーツも得意ではなかった。そんな内気な性格だった頃に、少女漫画のフルーツバスケットという作品に出会った。
姉と母がフルーツバスケットを読んでいて、たまたま読み始めた。優しさで包み込む作品に感銘をうける。こんな優しさが存在するのか、、、。
そこからポジティブに前向きに変わり、人生がガラッと変わったらしいです。たしかに岸上さんはめちゃくちゃ外交的でエネルギーに満ちていて、とても面白い方という印象を受けたので、内向的な一面は全く垣間見えませんでした。そんなこともあって、
人の人生を変えるコンテンツを作りたい。人に勇気を与えるものをつくりたい。
と思ったそうです。
(僕も、最近リゼロに救われたので、少なからず賛同します。それ以前にも音楽に何度も救われましたw)
VR/AR全般のお話
非常に独特で面白い会社ですね!それ以外にも色々と聞いてきましたので、少し箇条書きで紹介したいと思います。
・今のVR界隈は、プログラマーと3DCGクリエイターの交わりがあんまりない。その両者をそろえているのはゲーム会社くらい。だけどVR系ゲーム会社はプログラマーだらけだから、3DCGのことはそこまでつっこまない。MyDearestは3DCGクリエイターの役割もめちゃくちゃ重視している。
・VR系企業は3DCGクリエイターを探す方がエンジニアを探すより1000倍大変。3DCGクリエイターは需要のわりに供給が足りていない。
・スマホVRの可能性。高性能PCを必要とするオキュラスやHTC Viveにいまのところ、面白いゲームはあまりない。googleのスマホがdaydream対応になっていくので、そっちの方が伸びそう。
・「VRはヲタクの技術、ARはリア充の技術!」VR界隈ではこうゆう格言があるみたいですw gumiのCEOの國光さんも同じようなこと言っていました:
日本には「攻殻機動隊」や「ソードアート・オンライン」など、VRに親和性の高いコンテンツがすごく多い。向こうのリア充でVRをやってるヤツらと違って、俺らは何年間バーチャルで過ごしてきたと思ってるんだと
・VRにしても、アメリカにないものをやらないと価値は残らない。ヲタクコンテンツがその代表。アジアのVRの勝機があるとすればそこ。アメリカのVRは現実寄り。現実を再現しても意味がない。
(Virtual RealityのVirtualは「実質的に」という意味がある。実質的に現実に近いという意味のVRを、日本人は仮想的な現実と誤訳してしまった。なので日本は仮想的コンテンツ路線が多い。たしかに、戦艦大和や宇宙戦艦大和、宗教の世界観(死後の冥界とか聖書に出てくる世界とか)、「君の名は」のような、いま現実には存在しない物や世界を再現してこそ、価値があるかもですね。あるいは、火星や火山のように、現実には存在しても、様々な制約でなかなか体験できない物とか)
・VRはテレビやデスクトップPCと同じ。ARはスマホ、モバイルに相当する。VRは止まって体験するもの。余暇の時間に、浸れ込む体験。それに対してARは移動を伴う。
・VRはARより市場規模小さいっていろんな人は言うけど、大事なのはどっちが得意で、どっちがやりたいか。
・ARは下手にいくと死ぬ。ホロレンズとかまだ先。様子見の段階。ポケモンGOはポケモンだから流行った。
( なんでまだARは様子見の人が多いのかは、次の記事を参照してみてください。一言で言うと、今のスマホARはレベルが低いからだと思います。Snapchat(Snap)が目指す未来 【ARとコンピュータービジョン】 - kayaba_akihiko’s VR ARブログ。
とはいっても、インドネシアにはARバリバリの企業も既にあったりします。東南アジア最大のAR(拡張現実)ベンチャーの創業者に会ってきました! - kayaba_akihiko’s VR ARブログ )
・現状はHTCVive強いけど、オキュラスタッチが出たらオキュラスも強くなる。HTCViveのコントローラーとはレベルが違う。
・SF小説を読んで育ったのがマーク・ザッカーバーグ、パルマー・ラッキー、イーロン・マスク。日本のVR勢はみんなSAOとかのアニメ、ラノベ、ゲームで育ってる。日本のVR学会ではみんな漫画の話をする。攻殻機動隊ではこうだから、こうしよう。という発想。
・アップルとVRはあまり相性よくないかも。アップルはオシャレだけど、VRはヲタク寄りである意味で洗煉されていないことも大きな魅力の一つ。
・社長は自分でやろうとする気持ち、姿勢が大事。スタートアップは優秀なエンジニアの確保が難しいとはよく言いますが、クラウド会計ソフトを作っているfreeeの佐々木大輔社長は独学でプログラミングを学び、プロダクトを作っていたそうです。そしてスタバでたまたまコードを書いていた学生に声をかけたらしいです。そのスーパープログラマーの学生は社長が自ら作ったプロダクトを見て、コーディングが滅茶苦茶だと思ったものの、自分で形にしようと頑張っているところに惹かれ、アルバイトとしてジョインすることにしたとか。コードが滅茶苦茶だとしても、「書ける」ことが重要みたいです。
こちらのインタビューにもいろいろ掲載されていますのでぜひ参照してみてください。
公式ホームページ : MyDearest inc.
MyDearestさんによる、日本を代表する世界的IPの完成が楽しみです\(◎o◎)/!
(終わり)