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インドネシアで攻めるVRベンチャー、SHINTA VR

日本に帰国してから1週間、インドネシアが恋しくなってきたカヤバです。

サマサマ~(どういたしまして)って照れながら言うインドネシア女性が愛嬌あってかわいいんですよね・・・ってのは置いといてw、

SHINTA VRさんのCEO、宋 知勲さんのお話をお聞きする機会があったので、まとめてみました。最初にSHINTA VRさんのお話、最後のほうにインドネシアのVR事情を書きました。

ホームページ等(SHINTA VR)を見れば分かりますが、SHINTA VRさんはとても裾野が広く全部やってます。VRツール、VRメディア、VRゲーム、VRイベント、B2B向けのVRコンテンツ。ですが一番の目玉は「mindVoke」というVRコンテンツ開発プラットフォームです。後ほど紹介します。

NTTデータを退職し、インドネシアでVRベンチャー立ち上げ

宋さんは早稲田大学理工学部のコンピュータネットワーク工学科を卒業後、株式会社NTTデータに入社し(6年くらい在籍?)、今年2016年1月にSHINTA VRを立ち上げたそうです。日本ではなくインドネシアジャカルタでスタートアップを立ち上げるという異色の新パターン・・・!!

一番最初のきっかけはホリエモン?!

堀江貴文さんが好きで、twitterで堀江さんがオキュラスオキュラス言ってたから名前は知っていた。友達がたまたまオキュラスのDK2を持っていたので貸してもらった。お~!これはすごい!ってなった。そこから、NTTデータにいるときから、イベント何度も開いたが、お客さんがワ~!ってなって、毎回すごく盛り上がる。これはやっぱりニーズあるし行ける!と確信。それからさらにイベントを何度も開いていったり、VRの話を聞いたりするにつれて、どんどんVRに対する熱があがっていく。的な流れらしいです。

フェースブックを通して、インドネシアのVR界隈の先駆者と出会う

 たまたまインドネシアに親友の別荘?的なおうちがあり、遊びに行く機会が。インドネシアのVR事情が気になったので、FacebookのVRインドネシアコミュニティーに投稿してみたら、現地のVRのパイオニア的な方(現COOのアンデス・リツキ氏)からレスがあり、現地で会うことに。情熱とビジョンが一致し、意気投合し、そこからメールなども重ねてから、VRベンチャーやろう!となったらしいです。

(インターネットの力すげ~)

大学時代の親友も

早稲田大学時代の親友の2人とも始めたらしいです。(おそらくアンデスさんとの立ち上げ決意後にジョイン?)日本とインドネシア双方に拠点があったそうです。 現CEOの宋さんは最初はインドネシアで副社長をやっており、インドネシアと日本を行き来していたものの、どっちかに集中したほうがいいということで、インドネシアでCEOとして集中することに。今は日本に3人、インドネシアに8人といった感じだそうです。(わりと数字曖昧ですすみません)

親友とスタートアップやるのはどうなのかお聞きしたところ、グーグルも友達同士ではじめてるし、人による!とおっしゃってました。確かに!

辛かったことは、お金がどんどん減っていくこと。そして大企業が相手にしてくれない

実績がないといけない。お客さんになってもらうところが大変。

B2Bでいまはなんとかのってきた。最初は自分たちで営業していたものの、今ではホームページを通してお客さんの方から連絡がくるように。クライアントにはパンテーンさんや日立さんやイオンさんも。パンテーンさんだったら、イベントでVR使ってもらって、ヘアーケアー商品の効果をPRしたり。

さらには、インドネシア観光庁とも提携しているそうです。 国もジャカルタに人を呼びたいという思いがある。なので観光庁と提携して、観光スポットなどの360度動画を撮りに行って、それを用いて、東南アジア各地でインバウンド向けのイベントやったりしているそうです。

VRコンテンツ開発/共有プラットフォーム、mindVoke(マインドヴォーク)

www.youtube.com

どんなにプログラミングスキルがない人でも、簡単にVRコンテンツを作れて(ドラッグ&ドロップとか)、それをmindVokeのプラットフォームにシェアできてコミュニケーションができる。そんなプラットフォームだそうです。将来的にはVR空間内で直感的にコンテンツ制作ができる(手でものを掴んで動かしたり)ようにする。

もちろんUnityだとスクリプトが必要な代わりに、何でもできちゃう。mindVokeではある程度やることのフレームは与えるらしいです。

mindVokeで何でも全部作れるようにすることが理想だけど、最初はゲームと教育コンテンツからはじめる。

起業したての時は、B2BのVR事業に集中してインドネシアで大きくしていきたいと思っていたそうです。それだとそこまでスケールできないということで、ユーザー向けのプロダクトをやるべきだと考えを改め、今年の4月からアイデア出しを始め、mindVokeが生まれたそうです。

マネタイズ等は2、3年後を見てるそうです。ユーザー集めることができて、ユーザーがワーこれ楽しい!ってなった段階で課金?とかしていく。

ちなみに、いまVR界隈ではコンシューマー向けのプロダクトでマネタイズできているところはまだほとんどないのが現状だそうですいまの段階ではB2Bもやらないと食べていけないかもしれないらしいです。

(mindVokeのダウンロードはこちらから:mindVoke - Shinta VR。これはまだほんと最初の段階のものだそうで、これからどんどん改良していくそうです。おそらく無料の解凍ソフトが必要です)

VRメディアはまだお金にならない

SHINTA VRさんはホームページでVRニュースを配信していてメディアもやっています。

メディアはPVは稼げるそうですが、マネタイズはきついです。5年歯をくいしばらないときつい。

インドネシアはまだ貧しい人が多い。単価が日本の10分の1で低いから、課金とか広告打っても?ペイできない・・・(ここ曖昧ですすみません)

そしてソーシャル流入は図れない。インドネシアでは、フェースブックとかでいいね!はめちゃくちゃつきやすいけど、彼らは全く読んでないw

ちなみに、僕がインターンとしてちょっと関わってる、立ち上がったばかりのベンチャー企業でも、フェースブックのいいね数が8000を超えてるんですね。社長に、「どうやってこんなにイイね!集めたんですか!?」って聞いたら、「フィリピン人向けにPRしてる。フィリピン人は全員、なんでもかんでもすぐイイね押すんだよ~w イイね押すハードルがめちゃくちゃ低い」

って言ってました。めっちゃ面白い現象ですね。日本人は慎重に慎重に、石橋を3回叩いてからイイね押すのにw

SHINTAはインドネシアの女神的存在

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現地のムスリム女子いわく、「Ramayana」というインドネシア版のロミオ&ジュリエット的な物語があるらしく、その登場人物がシンタらしいです。(比較するなら、ロミオがラマ、ジュリエットがシンタ)。ヒンドゥー教の物語らしいです。今思い出しましたが、高校世界史でインドの2大叙事詩、『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』って暗記させられてました。インドからインドネシアにも伝わったのかな?(バリ島とかはヒンドゥー教一色)

ちなみにその子いわく、シンタには、「いい女」的な意味もあると言ってましたw たぶん美しくてかわいい女っていう意味より、「女性の鏡のように美しく、立派な女性」的なニュアンスかな?

 ちなみにインドネシアの観光名所とか街中のおみやげ屋さんや、バティック描画の絵なんかには、ラマとシンタばっかりでした!僕もちょうしにのってもれなく3体GET\(^o^)/

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イケてる会社は名前が2音節、かつ会社名がプロダクト名

フェース・ブック、ツイッ・ター、クラス・ター。基本2音節。そして、プロダクト名をそのまま会社名にしてるw 

確かにw

ということで、Shinta VRも、mindVokeに改名するかもしれないらしいです。個人的にはShintaも気に入ってるので寂しいですね・・・。でもマインドヴォークも確かにカッコいいな。(俺誰だw)

AR(拡張現実)ももちろん視野に入れてる

Gumiの國光宏尚さんのお話を引用されていました。

「VRはAR、MRと一緒になっていく。一つのデバイスで、VR何%、AR何%って切り替えができるようになる。没入したい時はVR100%にしたり。」

そういえばVR産業革命イベントでも國光さんはVR/ARのパーセンテージ切り替えの話してました。

10年後はMR。今目の前にある食べ物のカロリーが表示されたり、出会い系アプリなら、街を歩く女の子が恋人募集中なのかどうかも表示される。(プライバシー的に、Tinder使用者間に限定した話だと思います)

このMRに向けて、SHINTA VRはまずはVRでやっていく。とのことです。

インドネシアはハイエンドVRをやる土俵がまだない。ミドルエンドVRが最適

インドネシアではまだネットが遅いため、スカイプとかもできないらしいです。VRコンテンツは容量がとてもデカイから、高性能PC使うハイエンドVRはきつい。

となると、スマホ向けのミドルエンドVRやるしかない。GearVR向けのコンテンツですね。ミドルエンドにはこれからグーグルが入ってくる。(DaydreamやVRモードを備えている新型のアンドロイドOSのことですね。)

インドネシアは80%がグーグルなのでちょうどいい!

ちなみにインドネシアのVR事情は日本の1,2年前くらいの感じだそうです。やはりVRはアメリカ、日本、中国から。

とはいっても、インドネシアは世界で人口4位、総人口は2億5000万人越えです。日本の倍もあるんですねwww 平均年齢が20代だから、若い層が1億人くらいいるらしいです。新しいテクノロジーに最初に興味を示してとっつくアーリーアダプターは基本的に若者。そうゆう意味でもインドネシアは可能性に満ちている!とのことです。

インドネシアのVRベンチャー事情

SHINTA VRはインドネシアでおそらく最もアクティブなVR企業とのことです。

(ARならAR&COだと思います。東南アジア最大のAR(拡張現実)ベンチャーの創業者に会ってきました! - kayaba_akihiko’s VRブログ

SHINTA VRさんはまずはインドネシアでナンバーワン、そして東南アジアでナンバーワンのVR企業になることを目指しているそうです。

VRやってる企業はジャカルタに3社、もう一つの違う都市(アンボン?)には2社あるそうですが、これらのほとんどが映写の360°動画をやっているそうで、VRコンテンツを開発してるのはSHINTA VRくらいとのこと。

Octagonという、もともとはゲームをやっていたVR会社もある。(バンドンという都市に)

(ホームページ:Octagon Studio Ltd.、参考記事:Tech in Asia - Connecting Asia's startup ecosystem

ちなみにマレーシアではVRがいい感じらしく、インドネシアよりマレーシアの方が先にVRくるかもとおっしゃっていました。(SHINTA VRさんはベトナムシンガポール、マレーシアなど東南アジア各地でVRイベントを開かれているので、おそらくお客さんの盛り上がり具合とかを基準にした判断だと思います)

ちなみに僕はインドネシア旅行中、バンドンやジョグジャカルタという都市で、車に乗っている時に道路でVRヘッドマウントディスプレイが写っている広告みたいな大きな看板を3回ほど見かけました。認知はされてそうですね。

これからVRベンチャーをはじめたい人はどうすればいい?

 マネージメントをする人、プログラマー、3Dデザイナーの最低3人いればよし。(これはAR&COのピーターさんも全く同じこと言ってました。おそらく業界の共通認識)

シードのVCからは比較的資金調達しやすいけど、それ以外だと、どれだけユーザー獲得したか、今後のユーザーの推移も証明できないといけない。

イデアが良くても市場がないと無理。5年でお金にならないといけない。お金を稼げるストーリーをVCに示せればOK。(シード以外の話)

いろんな人に会って、アイデアをぶつけてフィードバックをもらい、これ行けそう!というものが見つかれば、プロトタイプを作り、投資家をまわればいい。

とのことです。皆さん、一緒に頑張りましょう!!笑

(追記:2016年9月24日)

YoutubeやLINEのようなCGM(Consumer Generated Media)っぽいものをVRでやりたいなら、3Dデザイナーの重要性はそこまで高くない気もします。運営側が3Dモデルをモデリングする必要がないので。

 

(終わり)